一般社団法人 精神科領域の感染制御を考える会
代表理事 糠信憲明
(広島国際大学看護学部)
私は大学で精神看護学と感染制御学を教えていることもあり、精神科病院の感染対策に興味を持つようになりました。その当時は現在ほど「精神科領域における感染対策の重要性」が一般の方はもちろん、感染対策の専門家の方にも十分にご理解いただけていない状況だったように思います。
当会は2008年に「精神科領域での感染制御を考える会(Infection Control Association for Psychiatry:iCAP)」が当時、愛媛県の松山記念病院にいらした前代表理事の山内勇人先生、東京都の常盤病院にいらした馬場寛子先生、神奈川県の久里浜医療センターにいらした中島百合先生によって発足しました。その後、日本環境感染学会などに合わせて開催していた講演会で仲間を増やし、さまざまな専門家の学会等での講演活動や精神科病院における感染対策に関する全国調査を行なう中で、より公益性のある活動を行うため、平成29年9月より一般社団法人に移行しました。
精神科病院では治療のために閉鎖的な環境を用いることがあります。それに伴いドアノブやカギなどの頻繁に手が触れる高頻度接触部位が一般科よりも多く存在します。その一方で手を洗う洗面台が少なかったり病室に手指消毒薬を置くのが難しい状況もあるため感染対策には工夫が必要になります。精神科病床は一般科病床に比べ病床当たりのマンパワーも少なく、感染対策に精通したスタッフの確保が難しいといった背景もあります。このような中で「実際に自分の病院で取り組むにはどうすればよいか」を多くの施設の方が試行錯誤されているのではないかと思います。これは当会のメンバーにも言えることであり、現在のコロナ禍において“絶対の正解はない”中で日々、奮闘しています。
私自身、「精神科と一般科」という比較するような表現を用いてしまう習慣があるのですが、精神科領域での感染対策は「マンパワーが十分ではない」「物品が十分にあるわけではない」状況での工夫の結晶です。そのため、災害時や高齢者施設など医療資源が乏しい状況においても有用な示唆を持つものと考えています。実際に当会のメンバーには災害派遣精神医療チーム(DPAT)の活動に携わっている方も多く、昨今のコロナ禍においてもクラスターが発生した施設への支援を行ったりといった活動もしています。
私は当会の活動が精神科医療の質の向上に資することが出来たら何よりの喜びです。どうか今後とも皆様のお力添えを宜しくお願いいたします。
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